日本で最も古い地下鉄である東京メトロ銀座線。
その一方の発着駅である渋谷駅が今月初めにリニューアルした・・・というのは
TVのニュースなどでも大々的に報じられていたのでご存知の方も多いかと思います。
銀座線の渋谷駅の開業は1938年(昭和13年)12月20日。
東急百貨店東横店の西館3階に設けられた2面2線の相対式ホームが
開業以来80年以上にわたって使用されてきましたが、
近年急速に進められている渋谷駅とその周辺街区の再開発に伴い、
東急東横店がいよいよ取り壊しとなるため、この銀座線の渋谷駅も数年前より
総工費290億円に及ぶ大規模な移設・リニューアル工事に入っていました。
そして昨年末、銀座線の一部区間を運休して線路の切り替えなど大詰めの作業が行われ、
年明けの2020年(令和2年)1月3日、ついに従来のホームより130mほど東側(表参道寄り)の
明治通りを跨ぐ新ホームへの移設が完了、その運用が開始されたんですね。
渋谷ヒカリエ側の「明治通り方面改札口」なども新設され
伝統ある銀座線、そして渋谷駅の歴史に新たなページが刻まれたわけです。
私・松風もつい先日、
新しく生まれ変わったこの銀座線・渋谷駅を初めて利用し、
その様子を写真に収めてきましたので、ここで簡単にレポートしたいと思います。

(↑)1934年(昭和9年)開業の渋谷の東急東横店。
これまではその3階に銀座線の乗車ホームと降車ホームがありました。
いつも地下3階の東急田園都市線のホームから階段を上って乗り換えていた私ですが
新ホーム開業後は初めて来るので、駅の案内表示の矢印をよく確認します。
かつては旧ホームの乗車ホーム側に誘導されていた経路が
降車ホーム側に変更されていました。

(↑)かつての降車ホームまで来ると・・・
そのホームは柵ですっかり覆われていました。なんとも不思議な雰囲気です。

(↑)構内図付きの案内板を見てようやく状況が飲みこめました。
旧降車ホームを表参道方面に歩いて新ホームへ向かえということなんですね。

(↑)かつての狭いホームは従来の姿こそとどめているものの、
乗車ホーム側は資材置き場と化しており、線路はすでに撤去されていました。
なんとも寂しさの漂う風景です。

(↑)矢印に誘導されるままに旧降車ホームを進むと、新ホームが見えてきました。

(↑)旧ホームと新ホームの間には多くの人がいて、
みなさん柵越しにスマホやカメラでその風景を収めていました。
今しか見られない風景に興味を持つのは鉄ちゃんだけじゃなさそうですね(笑)。

(↑)新ホーム側から旧ホーム側を見るとこんな感じ。
80年以上にわたって列車が発着したこのホームも間もなく姿を消します。
東急東横店は2020年3月31日をもって完全閉店し、
その後すぐに解体される予定なんだとか。

(↑)さて、いよいよ新ホームに入ります。
新駅は明治通りの真上、渋谷駅東口広場正面という渋谷のメインエリアに位置しています。
旧ホーム寄りの新改札口は「スクランブルスクエア方面改札口」。
すでにスクランブルスクエア東棟3階に直結していますが、東急東横店解体後は
その跡地に新たに建つスクランブルスクエア中央棟・西棟とも繋がるようです。

(↑)新ホームは島式ホーム。幅12m、全長102mのホームは柱がほとんどなく、
天井も高くかなり広々としています。1日22万人が利用する銀座線渋谷駅ですが、
新駅は出来るだけ圧迫感を感じさせないような外観を意識したようです。

(↑)柱状の発車案内表示に、M字型の独特なアーチ状の屋根。白色を基調とした明るい空間。
新たな渋谷駅はこれまでの駅のイメージとは全く違う、近未来の渋谷を思わせる姿に
生まれ変わっていました。

(↑)ホームの表参道寄りは渋谷ヒカリエの直下。
新設された「明治通り方面改札口」から渋谷ヒカリエ内のエレベーターやエスカレーター
を経由して東京メトロ副都心線・東急東横線にも乗り換えられるようです。

(↑)そんな新ホームも実はまだ未完成の状態。
今後7月のオリンピックまでに、さらにホームドアやトイレ、エレベータなどが
順次設置される予定なんだとか。

(↑)東洋初の地下鉄・旧1000形を彷彿させる車体デザインにして
最先端の技術を満載した現在の銀座線1000形車両。
近未来的な新・渋谷駅の雰囲気にも不思議とマッチしています。
歴史と伝統のある銀座線も、古き良き時代の面影を伝えつつ
今新たな時代へ走りだそうとしている・・・まさにそんな空気を感じました。
新たなスタートを踏み出した新・渋谷駅。
リニューアルしたことによる多くのメリットがあった反面、
駅のホームの移動に伴い他の路線からの乗り換え客の動線が変化したことで
一部で新たな混雑が発生したり、思わぬ不便が生じてたりもするようですが、
今月29日には現在のJR中央改札の東側に中央東改札が開設されるなど
駅全体の利便性の向上を図る動きは今なお続いているようですので、
これらの課題も今後少しずつ改善されていくのではないかと思います。
JRの渋谷駅の方も、山手線ホームと埼京線ホームの並列化を目指し、
現在埼京線ホームの移設工事が進んでおり、街区の再開発とも相まって
この先の渋谷駅はこれまでの面影すらとどめないほど
全く違うものになっていくのかもしれません。
そんな動きの先駆けとしての、今回の銀座線・渋谷駅のリニューアル・・・
渋谷駅、そして渋谷の新たな時代の幕開けを象徴する一場面として、
この先語り継がれていくのは間違いなさそうですね。