南関東もまだ肌寒い日はあるものの、いよいよ桜が咲き始めましたね。
平成最後の春、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
サーバの引っ越しも終わり、この日記もリニューアルオープン
・・・とか言いながらまたも1ヶ月ほど更新をサボってしまいました(汗)。
今月の半ばまでは仕事の多忙期だったんですが、
その後はその多忙期を乗り越えた開放感から
お絵描きしたり鉄道模型などいじって遊んでいたりしてまして・・・
サーバの問題が解消しても、私自身の日記のサボり癖だけは
まだ解消していなかったというわけです、ハイ(苦笑)。
そんな相変らずの私・松風なんですが
3月も下旬に入り寒さも和らいできたところで、先日は
当サークルの漫画『てつもえ』作りの取材(資料集め)も兼ねて
千葉県の内陸部を走る小湊鉄道に乗りに行ったりしていました。
ということで、今回はその時のレポートなどを綴っておきたいと思います。
うちの作品『てつもえ』の今後の話にも登場する路線ということで、
今回お見せする写真(車両、駅などの風景)の中には、
やがて作中の絵となって改めてみなさんにお見せするものもあるかと思いますが
そのへんは何卒ご了承ください。
3月も下旬に入ったとある平日の朝、
私・松風は、千葉県は市原市にあるJR内房線の五井駅に来ていました(↑)。
実はその前日にZOZOマリンスタジアムにて
プロ野球のオープン戦(ロッテ×阪神戦)を観戦し
その後移動して、五井駅近くのホテルに宿泊してこの日の朝を迎えていたんですが
この日はこの五井駅と房総半島の内陸部の養老渓谷、上総中野方面を結ぶ
千葉県のローカル私鉄「小湊鉄道(こみなとてつどう)」に乗りに来ていたんです。
小湊鉄道は、正しくは「小湊鐵道」。
千葉県市原市の民間会社(鉄道会社・バス会社)「小湊鐵道株式会社」が運営する
五井〜上総中野間39.1qの鉄道路線です。
終点の上総中野が第三セクターの「いすみ鉄道」(大原〜上総中野)の終点でもあり
両路線を乗り継ぐことで房総半島の内陸部を横断できることで知られ、
よくTVの旅行番組などいろいろなメディアでも紹介されているので
鉄道マニアのみならずご存知の方は多いのではないでしょうか。
大正時代に開業し、元々は南房総の安房小湊(現・鴨川市)まで
結ぶ予定だったこの鉄道・・・当時の工事技術や資金面の制約により
最終的に上総中野以南の延伸が断念されたため
会社・路線名にのみ「小湊」という地名が残ったというエピソードもさることながら、
五井〜上総中野間を結ぶ現在の路線そのものが今なお全線非電化・単線で
首都圏にありながら駅舎や車両などさまざまな要素で
昭和レトロな雰囲気を色濃く残しているローカル鉄道
ということで注目され、2018年には「小湊鉄道とその沿線の景観」が
千葉県により「ちば文化遺産」の一つに選定されています。
今回の旅はそんな小湊鉄道がテーマということで
早速その始発駅・五井から乗ってみようというところですが、その前に
五井駅に隣接する形で小湊鉄道の車両基地(五井機関区)がありますので
先にそちらをちょっと覗いてみることにします。
(↑)五井機関区は五井駅のすぐ東側にあります。
JRのホームや駅を東西に跨ぐ跨線橋の上からも
小湊鉄道のキハ200形気動車が集う機関区の様子を一望することができます。
(↑)駅を出て、近くまで行ってみると、特にフェンスなどで仕切られている様子もなく
機関区の中の様子を間近に見ることができます。
キハ200形が何両も顔を並べている風景は鉄ちゃんとしてはたまりません。
機関区内は関係者以外立入禁止のはず(?)・・・なんですけど
特に注意喚起をするような看板も見当たりません。
(↑)機関区の方にひと言声をかければ内部の見学も可能という話も聞くので
ぜひ見学してみたいところでもあるんですが、
今回は小湊鉄道に乗ることをテーマに来ましたので、すぐに駅に戻ります。
小湊鉄道のホームにはすでに乗る予定の列車が入線していました。
(↑)五井駅の小湊鉄道の乗り場は3・4番線ホーム・・・なんですが
その切符売り場と改札口はJRの改札内の駅舎から伸びる跨線橋の上にあります。
小湊鉄道ではSuica、PASMOなどのICカードは使用できないため
JRの改札外から入るときはまずJRの有人改札で駅員さんに申し出てJRの改札を通り
その先の跨線橋上にある小湊鉄道の券売機まで行かなくてはなりません。
(↑)JR⇔小湊鉄道を乗り継ぐ人のために簡易Suica改札機も設置されています。
ということで、券売機で小湊鉄道全線一日乗り放題のフリー乗車券(1,800円)を購入。
改札口で日付印を押してもらってホーム(3番線)に降り
いよいよ小湊鉄道の列車に乗り込みます。
(↑)列車は上総牛久行き。
五井と上総中野を結ぶ小湊鉄道ですが、五井を始発とする列車の大半は
途中駅の上総牛久行きで、その先の上総中野方面に向かう列車はわずかしかありません。
観光で養老渓谷方面に行く人やいすみ鉄道に乗り継いで房総半島横断をしようという人は
あらかじめ列車の時刻を確認しておいた方が無難です。
(↑)列車は定刻通り五井を発車。車内はほぼ座席が埋まっている感じでしたが
乗客は地元の方と観光客が半々というところでしょうか。
かつての国鉄のキハ20系タイプをベースに造られた小湊鉄道キハ200形は
すでに半世紀以上この路線を走り続けている老雄気動車で
足元から響く鈍いディーゼル音には何とも言えぬノスタルジーを感じます・・・が
車両が古い上に線路も高規格ではないせいか、結構揺れも激しいです(汗)。
(↑)五井を出てしばらくは住宅地の中を通りますが
車窓の風景は次第に田畑が広がる田園地帯へと変わっていきます。
(↑)五井から2つ目の駅・海士有木(あまありき)駅に到着。
まずはこの駅で途中下車してみることにしました。
(↑)ここでは上下列車の交換があります。
列車交換のシーンはやっぱり鉄ちゃん心をくすぐるものがありますね(笑)。
(↑)それぞれの方向に走り去る列車を見送ると、
私の他に誰もいない駅の構内は急に静寂に包まれます。
うららかな春の陽気に包まれた田園の里の小さな無人駅。
その静寂の中に一人佇む時間というのもなかなかいいものです。
(↑)駅の構内や線路脇には春の訪れを告げる菜の花が鮮やかに咲き誇っていました。
この時は桜の開花はまだでしたが、房総の春はなぜか菜の花が良く似合います。
(↑)「あまありき」という駅名は難読駅名の一つとしてよく話題に上がります。
実はかつて、小湊鉄道による千葉方面への延伸計画があり
この駅をその分岐点とする構想があったんですね。
この計画は後に千葉急行電鉄、そして京成電鉄へと引き継がれ、
現在の千葉中央〜ちはら台を結ぶ京成千原線へと繋がるんですが
ちはら台からこの海士有木までの延伸計画は今も具体化していません。
京成電車がこの駅まで来る日がいつかやってくるのか?どうかはわかりませんが
この駅ののんびりした風景を見ていると、特に新たな路線の必要性は感じない
というか今のままでいいような気もしてきますね。
(↑)次の列車が来るまで時間があるので駅舎も見てみます。
こちらはホーム側から見た駅舎。
(↑)こちらが正面から見た駅舎。
木造平屋の寄棟造り、瓦屋根、洋風板張りの駅舎は1925年(大正14年)の
開業当初からのものです。100年近い歳月にわたり風雪に耐えてきた駅舎は
国の登録有形文化財に指定されています。
(↑)駅舎内部も、ほぼ昔のままの佇まいをとどめているようです。
一人の駅員が効率よく駅務をこなせるように
斜めにせり出した出札窓口(切符売り場)と一体となった改札口、
一段低く設置された手荷物取扱カウンター・・・
昔のローカル駅では一般的だった形式がそのまま残っています。
(↑)かつては駅員がいたこの駅も今は無人駅。
かつての駅事務室を窓からのぞいてみると、机やロッカー、ストーブなどはあるものの
やはり人の気配は無く、薄暗くひっそりとしていました。
(↑)さて次の列車が来ましたので、先に進みます。
次はどこの駅で降りようか? フリー乗車券の気まぐれ旅はまだまだ続きます。
(↑)列車は田園風景と住宅街が混在する市原市南部の郊外を走ります。
あちこちの駅や線路脇に菜の花が黄色く咲き乱れていました。
これを見るだけでもこの列車を乗りに来てよかったと思えてきます。
(↑)そんな車窓に見とれているうちに、列車は終点の上総牛久に到着。
この先の上総中野方面に行くには次の列車を待たなければなりません。
というわけで、今度はこの駅で途中下車です。
(↑)乗ってきた列車はここでしばしの休息をとり、再び五井行きとなって折り返します。
五井から来る列車の多くがこの駅で折返しとなり、この先へ行く本数が激減するのは
この駅を境に輸送量に大きな差が生じるからなんですが
観光客や私たち乗り鉄にとってはやっぱりちょっと不便ですね。
(↑)上総牛久は市原市の南部地域(旧南総町)の中心地区で
駅も他の駅に比べて活気があります。
2面3線のホームがある駅の構内はこの時も
次の列車を待つ地元の高校生や観光客などで賑わっていました。
(↑)上総牛久駅の駅舎も1925年(大正14年)の開業当初からあるもので
国の登録有形文化財に指定されています。海士有木駅と同様、
古き良き時代のローカル駅の雰囲気がそのまま残っています。
(↑)駅の周辺は商店や住宅が多く立ち並び、
駅前からは周辺地域への路線バスも発着しているようです。
(↑)とはいえ、やはりここはまったりとした空気の漂うローカル駅。
猫がのんびり毛づくろいをしたり、カリカリフードをもらったりしてくつろいでいる
そんな駅でもあります。
(↑)上総中野方面から五井行きの列車がやってきました。キハ200形気動車が駅に並びます。
(↑)五井行きの列車はホームにいた大勢の高校生たちを吸い込むように乗せて発車していきました。
地元の学生さんたちにとって小湊鉄道は重要な生活の足なんですね。
(↑)そして次の上総中野行きの列車が来る時刻も近づいてきました。
私も再び下りホームで列車を待ちますが、列車の到着時刻が近づくと
駅長さんらしき人が何か「モノ」を持って構内踏切を渡ってきます。
(↑)上総中野行きの列車がやってきました。キハ200形の2両編成です。
(↑)列車が停車すると、駅長さんが先ほどの「モノ」を運転席の運転手さんに渡していました。
鉄ちゃんの方ならもうお分かりかと思いますが、票券閉塞式の通票(通票△)の受け渡しです。
ちょっとマニアックな話なんですが、
全線が非電化・単線の小湊鉄道では現在も非自動閉塞方式が採用されていまして
五井〜上総牛久間が自動閉塞式、上総牛久〜里見間が票券閉塞式(△)
里見〜上総中野間がスタフ閉塞式(○)と、3つの閉塞方式で運行されています。
(多くの方にはチンプンカンプンな話かと思いますが、用語の説明はここでは省略します。
そのうち『てつもえ』の参考ページででも詳しくご説明したいと思います(笑)。)
というわけで上総牛久を出発し、小湊鉄道の旅はさらに内陸部へと進みますが
・・・話が長くなりましたので、この続きはまた次回にしたいと思います。