前回は、鉄道線路も走ることができるバスの話でしたけど、今回もバスのお話です。
最近「バスの運転手不足」が深刻化しているというニュースをよく見聞きします。
少子高齢化もあって、どの業界も人手不足が深刻化している状況ではありますが、
地域の足である公共交通の存続に関わる話であるだけに
このことは単なる業界の話としてだけではなく、一つの社会問題として
かなりの危機感をもって受け止められるようになってきているようです。
帝国データバンクが11月22日に発表した
「全国『主要路線バス』運行状況調査(2023年)」によると、
今年、路線バスの減便や廃止を行ったバス事業者は、全国のバス会社全体の8割にも及び、
減便や廃止の理由として、ほぼ全ての事業者が「乗務員(運転手)不足」をあげたそうで、
それは人口の減少した地方などにとどまるものではなく、
人口の密集する大都市圏も例外ではないんですね。
ドライバーの時間外労働に年960時間の上限が課される「2024年問題」というのもあり、
この先はさらに運転手不足が深刻になることが予想されるところでもあり、
労働環境の改善等も含めた政策的なテコ入れもより一層求められることかと思います。
・・・と、なんで急にこんな話を始めたかというと、
最近、横浜市北部の私の家の近くでこんなものが走るようになったんですね(↓)。
東急バスが、来年から営業運転への導入を目指している連接バスです。
鉄道車両のように、2台の車体を連結させて1編成をなし
各車体間がアコーディオンのような幌で繋がっていて、
関節のように折れ曲がる動きができるタイプのバスで、
すでに都市部ではあちこちで導入されているので、
乗ったことがある方も多いかと思います。
私自身も、横浜の中心部や千葉の幕張のマリンスタジアムに向かう路線などで、
乗ったことは何度もあるんですが、
首都圏とはいえ郊外の住宅地である私の自宅の周辺でこれを見ることになるとは
正直予想すらしていませんでした。
連接バス導入の目的は、当然のことながら「大量輸送」です。
全長18m及ぶ長大なバスですが、一般的なバスの1.8倍の定員があるそうで
1回の運行での輸送力の大幅アップが期待されるんですね。
うちの周辺(横浜市青葉区)は新興住宅地で学校なども点在しており
バス利用者は比較的多く、ドル箱路線といえるバス路線もいくつかあるんですが、
やはり運転手不足は深刻になりつつあるようです。
そこで東急バスは、今のバスネットワークをできるだけ維持するため、
混雑緩和のみならず、少数のドライバーでの輸送力の確保もできる
連接バスの導入を決定したようで、その試運転が始まっているんですね。
駅前道路もあまり広くない中で、こんなデカブツのバス導入して大丈夫なの?
とつい思ってしまいましたが、走っている様子を見た感じでは
交差点などもスムーズに曲がれているようで、ひとまず運行は可能なようです。
駅前のバスロータリーも、今後の連接バスの往来を考えてか
中央の区画の縁石や垣根を一部取り除いて通路を広げる工事を行っていました(↓)。
東急バスの発表によると、具体的には、来年の4月以降に、
1日368便の運行があるドル箱路線の青61系統「青葉台駅〜日体大」便に
この連接バスを導入し、乗車定員を確保しつつ許容できる範囲で運行便数を減らす一方、
現在は赤字となっている長距離路線の青56系統「青葉台駅〜緑山循環」便は
日体大を起点とする支線バスに変更し、乗務員を再分配することで
運行の効率化を図っていくとのことですが・・・
いやはや、これで便利になるのか?不便になるのか? 正直まだよくわかりませんね(汗)。
とはいえ、
ドライバー不足に悩まされるバス会社の涙ぐましい努力でもある連接バスの導入。
今後同様の取り組みが各地に広がるのかどうかはわかりませんが、
私も時々利用させてもらっている地元のバスですので、心から応援しつつ、
今後の動きを注視していきたいところです。